ノーウェアボーイ-ひとりぼっちのあいつ-(Nowhere Boy,2009,英)

ノーウェアボーイ 〜これは伝記ではない〜


金曜夕方の天神東宝,お客さんは10人ぐらいかな。テレビCMもしていない作品だからもっと少ないだろうと思っていたけれど,そこはさすがに世界中が知っている,アノ彼のお話ってだけはある。
というよりそもそも福岡市内の劇場公開がなかったらどうしようかと心配していたので,東宝のような大きな劇場で航海されてよかったよかった。

2009年のイギリス映画。中等学校に通うジョン君が,二人の母親をはじめとして,学校の友達,バンドの仲間,そしてポールやジョージとの出会いや別れの中で成長していく物語。はじめはただの”ジョン少年”だけど,次第に誰もが知っている”ジョン・レノン”へと近づいていく。
観客には,彼が将来のジョン・レノンであることが分かっている。そのため作中では過多な説明が必要ない。その分,登場人物の行動や心の動きを丁寧に描くことができる。いかにもは伝記っぽさがなく,思春期真っ盛りの一人の少年の物語として非常に面白い作品だと思う。

内容は個人的な話なので,主要な登場人物も少なめ。この役者さんがまた味があってよい。主演のジョン役アーロン・ジョンソンくんは「キック・アス」も主演。公開が楽しみ。それから伯母のミミ役クリスティン・スコット・トーマス。そして何といってもポール役のトーマス・サングスターくん。
目がクリクリしているところが確かにポールっぽいかもしれないけれど,問題はそんなことではない。草食系男子っぷりのルックスに優等生的なすかした感じでギターもうまいし,作曲もできる。ヤバイ。そりゃージュリアもかまっちゃいたくなるわな。

それにしてもジョンは,リアル「エデンの東」を経験しているんだな。初めて知りました。まだ11月の半ばだけれど,この作品,2010年に鑑賞したものの中で一番好きな映画になりそう。映画館で目を腫らすほど涙を流したのは本当に久しぶりでした。