なくもんか(2009,日)

なくもんか  〜クドカンによる吉本新喜劇


まさかの舞台挨拶でした。監督の水田伸生さんと主演の阿部サダヲさん。地味な二人に対して司会を務めるローカル局アナウンサーのテンションが無駄に高くて内容がない。試写会の司会って,はじめに映画の紹介でイントロ話したり,ゲストの紹介したりするよねえ。事前にゲストや配給側とアピールポイントの打ち合わせしたりするよねえ。
ステージ上での阿部サダヲの素人っぽい振る舞いに会場は大ウケで,おば様方(なぜかそのような方が多かった)からは「がんばれ〜」の声援。ほほえましい場面だけど,この人たち,グループ魂とか知らないんだろうなあ。

映画の中身はというと,クドカン版・吉本新喜劇
もう新喜劇そのもの。ただし登場するのは吉本の芸人ではなく,舞台や映画で活躍している名だたる俳優たち。クドカン作品にはおなじみの阿部サダヲ皆川猿時塚本高史。他に演技に定評があるカンニング竹山,紅一点の竹内結子など。
もちろん新喜劇のように垢抜けないダサ臭さなどは全くなく,どんなに薄汚れていても貧乏でも垢抜けていておしゃれに見えるからステキ。物語は想像力豊かなCGを挟みながらテンポよく進んでゆく。
リアリティはない。主人公を取り巻く家族との関係や同じ商店街の人々とのかかわりなんかも描かれるけれど,それらは全てネタ(にみえる)。登場人物のキャラクターや衣装,セットに至るまで,全てこの喜劇のネタとしてデフォルメされた形で現れる。妙に作りこまれた商店街の看板,ユニクロの件,エコと沖縄の件などがそれだ。これ沖縄の人はみていて怒ったりしないのだろうかとちょっと心配になった。まぁ、そんな料簡狭い人なんかいないか。

「これは泣ける喜劇か,笑える悲劇か?」みたいなキャッチがあったけど,泣けるかどうかは別として,これは確実に喜劇です。はい。