イングロリアス・バスターズ(米、2009)

イングロリアス・バスターズ  〜出だしが最も心臓に悪い〜


私の中で今年のベストアクター、ブラッド・ピット。とっても楽しみにしてキャナルのユナイテッドシネマへ向かう。そういえば昔観た「パルプフィクション」は面白い映画だったな〜なんて考えながら。

第1章。いつ核心に入るかまったくわからない、けれども気を抜くとすぐに置いて行かれそうなのでまったく気を抜くことができない会話を、超緊張した状態で延々と聞かされるという、この心臓への負担の大きさったら、そりゃないぜ。これを”スリリング”なんて言いたくない。有無を言わさず観客の感情をコントロールしてしまう、なんという意地悪な手法。
心臓は飛び出しそうで、隣の人に聞こえそうなほどバクバク。スクリーンをまともに見ることができず,斜め上を見ながらたまに字幕をチラ見。病人と妊婦にはとても見せられない。
大の苦手であるホラーとグロ,普段は絶対に観ないのに。しかし、これは、とんでもないモノを観てしまっているのかもしれない。ちくしょう、なんてヘビーなエンターテイメントだ。
そういえば「パルプ・フィクション」も実は相当にヘビーなエンターテイメントだった、ということを、いまさらながらに思い出すのであった。面白かった、という記憶が私の中でいつの間にか美化されていたみたい。そうだ、グロとか寿命が縮まりそうな会話劇とか結構あったぞ。車の中で頭が破裂したり、トイレの個室で蜂の巣にされたりしてたぞ。忘れてた。

2章から4章。確かにグロも登場するし、まぁ4章の指グリグリはマジ勘弁してほしかったけど、1章の衝撃が大きすぎたのか心臓への負担はそれほどでもない。プレミア作戦の行方とか、会話劇とか、無駄にかっこいいカットとか効果的な音楽とか,テンポのよいちょっとした笑いとか,作品を楽しめるようになってきた。

5章。やっぱ最終章、作戦が始まればもう目が離せない。ショシャナの仕掛け自体も絵になる(スクリーンが○○○のをスクリーンで見るっていう)けど、スクリーン裏のマルセルのシーンとか、映写室での出来事とか、すごく、なんちゅうか、ヘビーなんだけどシリアスとは程遠く、結局やはりエンターテイメント。