2012(米、2009)

2012 〜子どもの頃、こういう夢、見たよね〜


これってひとりで観る映画じゃないよなぁという感じがしていて今日まで避けてました。だけどこのままではそのうち上映が終わってしまうし、やはりディザスターものはシネコンのスクリーンで観るべきだと自分に言い聞かせて、いざ、いつものキャナルへ。平日の17:00、すでに公開から数週間たっているのにまあまあの数の客がいる。しかし、お一人様は私だけ。

インデペンデンス・デイ」(1994)や「GODZILLA」(1998)のローランド・エメリッヒ監督作品。ホワイトハウスの動きを中心に、アメリカ合衆国の親子、チベットの兄弟、インドの家族、豪華クルーザーに搭乗しているジャズバンドなど、世界中から数組をピックアップし彼らがディザスターに翻弄される様子を描いていく。ストーリはまんま「インデペンデンス・デイ」です、はい。
なので考えて観る映画ではない。わくわくしたりどきどきしたり、体感する映画だ。とりわけ中盤のリムジン→セスナ→キャンピングカー→セスナ→ジャンボジェット機と乗り継ぎを重ねてぐんぐん進んでいく箇所はすごかった。スクリーンの映像に合わせて座席が動く遊園地のアトラクションに乗っているみたいで、いやもうマジで動いているような気分になる。飛行機が急上昇するときなんて、つい一緒にアゴが上がってしまう。

ただ、いくら”考えない映画”だからといって見終わって何も残らないのはいやだ。そこで、この作品の特徴について考えてみた。
インデペンデンス・デイ」にも通じるが、おそらく悪い人間が一人も登場しない。勇敢なヒーローとヒロイン、かわいい子どもや動物は死なない。悪いのは全部ディザスター。しかもそれが人間による環境破壊とかに起因していないところがまた潔い。要するに偶然であり、単に運が悪かったのだ。この(かなり都合のよい)運とか偶然というのがこの映画のポイントだ。
自然遺産で言えばヒマラヤやハワイは大変なことになるし、文化遺産で言えばエッフェル塔やワシントン・モニュメントやサン・ピエトロ大聖堂も大変なことになる。ミケランジェロアダムの創造」の割れっぷりには(緊迫シーンにもかかわらず)思わずほっこりしてしまう。
ほっこりといえば、ヒマラヤ山頂付近で遭難した主人公パーティの上空を○○が輸送されていくシーンは忘れられない。実は”ノア”が置いてかれてるというシュールなシーンでもあるのだ!
とにもかくにも、印象的なシーンはどれもピンポイントで、まるで小学生の子どもが見た夢を極上の映像で再現してみせたかのようだ。
やはりこれは一人で観る映画じゃない。大事な人と一緒に観て愛情を確かめ合う客がいるのかどうかは知らないが、少なくとも一人でいろいろ考えるのではなく、観賞後に一杯飲みながらツッコミ合って盛り上がるための映画だ。うむ。