インビクタス-負けざる者たち-(invictus, 2009,米)

インビクタス 〜文部科学省優良作品、にしたい〜



久しぶりに中洲大洋劇場へ、しかも自転車で行ってみました。前々から自転車中心生活をしたいなと考えていて、天神とか博多駅ぐらいの距離なら日常ツールとしたいところ。でも、いざ出かけるとなると結局いつもバスか地下鉄。ところが今日は仕事で九大病院に行く用があったので、ついでにちょっと頑張って中洲大洋まで行ってみました。暖かかったしね。ちょっと時間があったので、もうひと頑張りして天神まで行ってバレンタインのチョコをまとめ買い。

さて、久しぶりの中洲大洋。相変わらず雰囲気がある映画館。騒々しい中洲の雑居ビルの中に、決して広くはないけれど清潔感があってシートも立派な映画館。だけど予想通りに客は少なく、私を含めて3人。…平日だからと思いたい。

作品は良作。よく考えられたストーリーに、俳優の演技。なんといってもマンデラ役のモーガン・フリーマン。「ディープ・インパクト」の時はまさか現実になるとは思ってもみなかったので、米大統領選挙では「ディープ・インパクト」の先見の明に驚かされた。もうこの人は大統領役だけで世界制覇できるんじゃなかろうか。ラグビーチームのリーダー、フランソワ・ピナールを演じたマッド・デイモンが助演男優賞で注目されているけど、演技より肉体に注目してしまう。とにかくマッチョです。

肝心の内容はというと、優良作なんだけどエンターテイメントとしてはイマイチ盛り上がりきれなかった感じ。もう一ひねりあったらなぁ…と思うのは贅沢かな。

マッド演じるフランソワの存在感というかキャラクターがイマイチ分からなかった。葛藤とか成長とか何もなく、なんだかとんとん拍子にワールドカップが進んでいく。彼がマンデラの人柄に惹かれていくのはわかるけど、チームメイトにも恋人にもそれが伝わっていない。統一の立役者としては、チームリーダーの彼よりもむしろチェスターなのでは?いずれにせよ黒人と白人の複雑に絡まりあった確執は、スポーツを通じて比較的あっさりと希望の光に変わっていく。

それから伏線(としていたのかどうかもイマイチ分からないのだが)が回収されているのかどうかもよく分からない。マンデラの家族問題とか、フランソワの父の黒人蔑視思想とか、マンデラの体調は結局どうなんだとか。チェスターの怪我はもっとストーリーにかかってくるのかと思ったらあっさり全快するし。

SPたちの件は面白い。はじめは不信感でいっぱいだった彼らだが,本来はみな仕事熱心な良い人たちばかり。マンデラの人柄やラグビーを通じて信頼関係を築いていく。彼らの関係はマンデラが望む南ア4600万人の縮図として描かれているわけです。

新聞配達のワゴン車とか、白人パイロットの飛行機とか、サスペンスを意識した小ネタは楽しい。てかあの飛行機は撃ち落とされても文句言えんぞ(笑)。