マイレージ、マイライフ(Up in the Air 2009,米)

マイレージ、マイライフ 〜旬なネタが詰まってる〜


あーおもしろかった。何が面白いって脚本が面白い。扱っている素材は、まじめでお堅い雰囲気になりがちだったり、暗くてお涙モノになりがちだったりするもの。なのにエンターテイメントとして作られていることに好感を覚える。
原作の小説は未読なので、どこら辺が映画オリジナルなのかはよく分からない。しかしこの脚本、ホントによくできている。俳優の演技や音楽ももちろん重要だけど、映画はなんといってもまず脚本が面白くないとはじまらないからねー。

現在の経済状況や政治状況や思想状況……要するに今の”流行り”を各方面からうまく取り入れている。そしてそれを無理なくイヤミになることなく、ストーリーに生かしている。世界的な経済不況とか、インターネット中心社会とか、マイレージとかの旬なネタはもちろんそう。
他にもたとえば、極端な自己決定至上主義。一緒に鑑賞したつれあいによれば、バックパックについての演説の件は一時期アメリカではやった経済学者(だったっけか?)の著作が元ネタ。
おまけにラスト。そのような極端な自己決定至上主義の代表のようなキャラ設定だった主人公ライアン・ビンガムなのだが、彼がようやく達成した最終目標は、彼自身によってではなく他人によって生かされるというオチ。しかもアメリカ人にとって最も重要なもののひとつである家族によって。

作中では多くの人がリストラされまくるが、どうやら彼らは本物。最近リストラされたエキストラを募集したところ、4,600人の申込があったらしい。うーん、しみじみと見入ってしまった。