てぃだかんかん(2010,日)

てぃだかんかん 〜きれいな海が見たかった〜


試写です。都久志会館。沖縄の海が大好きな地元の素朴な男性が、珊瑚の海の再生を目指して奮闘する様子を、男性の家族や友人、彼らを取り巻く人々とのかかわりを通じて描こうという作品。
いろいろとミニイベントが起こる。そのたびに岡村隆史演じる金城さんが駆け回り、その様子を影から松雪泰子演じる妻・由莉と2人の子どもが見守る、というパターンの繰り返し。ちょこちょこと挟み込まれるギャグはほほえましくはあるがちょっと半端な印象で、物語の本筋自体に何か興味の持てるポイントもない。
あとは沖縄のきれいな海とか熱帯魚とかの映像を、「オーシャンズ」の時のような微妙な気持ちではなく単純に楽しめればいいかなと思っていたのだけれど……沖縄の海が舞台となる内容のはずなのに、沖縄のきれいな海がほとんど映像で紹介されなかったのが意外だったし残念だった。これがないと、「このきれいな海を守りたい!」というメッセージがスクリーンの外に伝わらないと思うのだけど。
代わりに印象に残ったのは、単調なストーリーの中でも光っていた役者さんの演技。原田美枝子さん、松雪泰子さん、岡村隆史さん、の順番かな。あと渡部篤郎さんも。この映画にはちょっともったい演技のような気がした。
素朴な地元民の素朴な努力と感動がメインなのだから、金城さんの視点・立場から描かれるというのは理解できる。でも、金城さんと対立する人々の描き方が悪意に満ちていて、あまりいい気持ちがしなかった。例えば学者、県庁の役人、最後に融資の企画話を持ち込んだ人など。これ完全に悪人扱いやん。とりわけ学者の描き方には不愉快だった。学会の場でゲストプレゼンターにあんな嫌な言い方する奴いねーよ。研究者のイメージが悪くなってしまうかもしれないと思うと、とても悲しくなりました。