鉄男(1989,日)

鉄男 〜あたしをひとりにしないでおくれよ〜


シネリーブル博多駅で今週限りの限定上映。私は仕事帰りに夕方18時ぐらいの回で鑑賞。観客は私を含めて3人。この映画館に満員の客がいるところには出会ったことがない。大丈夫かな。

あまりアングラ系というか創作系の映画を経験していないので、どんな観方をすればよいのか、正直ラストまでよく分からなかった。途中から(というか割と始めの方で)そのことに気がつき、あとは雰囲気を楽しむことにした。
ただ、ホラーやグロやサスペンスが大の苦手の私にとって、前半は、まぁかなりキツかったな。まだ雰囲気がよく掴めていないということも手伝っていたと思うし。
だけど中盤あたり(メガネっ子とのバトル終了後)から、生身のグロい描写がほとんどなくなったので、一気に観やすくなった。恋人とのセックスとその前後の件が、描写のダイナミックさやグロさに対して、なんとも切ない。(いま思い出したが、猫はどうなったんだろう。無事だといいのだけれど。)
圧倒的に説明が不足している状況設定、強引に進行するストーリー、真面目なんだかふざけているんだか分からない登場人物たち、現実と幻覚の境があいまいな描写、映像と音楽が絶妙に組み合わさった独特の雰囲気、一定のリズムで刻まれる金属音……よく分からないまま、次第に引き込まれていった。上映時間が67分というのもよい。