flowers(2010,日)

flowers 〜ぞっとするほど保守的な女たち〜


試写です。「企画・製作総指揮」が有名なCMクリエイターだそうで、観ていてなるほど納得。映画っていうよりも、テレビで長いCM観ているみたいだった。あ、といっても、何も登場人物たちがやたらシャンプーばかりしているとか、そういうイミではありません。シャンプーシーンはなしです。「全体的にCM調の雰囲気」というイミです。
特に第二世代の1970年代のくだりでは、背景や映像が安っぽい感じになっていて、それはたぶん70年代のテレビ放送の画質っぽくすることで雰囲気を出そうというアイデアなんだと思う。他にも音楽とか、それぞれの時代の雰囲気を出すためのアイデアが映画にはなんだか珍しい手法のように感じて、なかなか面白かった。まー第一世代がモノクロっていうのはイカニモだったけど。
一番印象に残ったのはラスト近くの田中麗奈さんによるシーン。窓を開けると風が舞い込んできて、部屋の原稿用紙が散乱する、それを追いかける……というシーン。ストップモーションのようで、これもとってもCM的なんだけど、きれいでした。

さて、肝心の内容はというと、実は、ちょっと引いちゃいました。この映画全体に流れる、非常に保守的な思想に。この映画によると、女性の美しさとは、次のようなことのようです。

・お父さんの言うとおりにしていれば幸せになれる。
・男には(たとえ彼が死んだとしても)、一生従うべきである。
・自分の人生を多少犠牲にしてでも子どもに尽くすべきである。
・時には自分の生命を犠牲にしてでも子どもに尽くすべきである。
・まとめると、結婚すること、あるいは子どもを生み育てること(できれば両方満たすこと)が女性が美しくあるために必要な要素である。

この2010年という時代に、ここまで保守的な生き方をする女性たちを「凛とした、日本女性の美しさ」みたいなキャッチで世の中に出すその勇気に、ある意味、驚きです。
登場する女性たちはそれぞれに何らかの困難を抱えていて、彼女らがその困難にどのように立ち向かったか、そして彼女たちの選択がどのような結果を導いたのか、が描かれる。しかし終わってみると、実は彼女たちは誰一人として、はじめの流れを覆すような(運命を切り開くような?)「決断」を下していないのである。6人もいるのになにやってんだ!

・父親が決めた結婚に納得がいかない。→悩んだ結果、「やっぱお父さんが私の幸せを考えていないはずがないよね」→受け入れて結婚します。(家制度に対する疑問、というはじめの問いはどうなった?)
愛する人が死にました。→忘れられないから、彼をずっと愛し続けます。
・プロポーズされました。→悩んだ結果、プロポーズを受けます。
・妊娠しました→悩んだ結果、受け入れて生みます。(×二人。)

おいおい、みんな受け入れすぎやろ…。近代家族の負の側面に全く触れずに保守思想のイデオロギーの塊みたいな考え方が、もし若い人たちに受け入れられているのだとしたら……。20代女性の専業主婦願望が増加しているという先日のニュースを思い出して、ちょっとぞっとしました。


あ、そうそう。平田満さんとV6のイノッチは似ています!これは大発見です、はい。