コーヴ(The Cove 2009,米)

コーヴ 〜いろんな意味でビミョーな気持ちになる〜


観よう観ようと思いながら、気がつけば上映は明日までじゃない!で、急いで観にいくことにしました。この作品を観て、私は大きく二つのことを知ることができた。

まずは製作者側が意図する情報、つまり日本のある地域で行われているイルカ漁がどのようなものか、その様子の一端を見ることができる。控えめに言っても、漁の映像は心地のよいものではない。というか野蛮だ、と言ってもよいと思う。もちろん編集によって強調されている部分はあると思うが、それでもイルカの追い込み方や銛の刺し方、絵の具を流したかのように赤く染まる入り江をみるのは衝撃だ。
で、問題は”衝撃”をどう受け取るかということだ。これを考えるのが難しい。もしイワシの群れだったとしても同じ衝撃を受けるのだろうか。同じ哺乳類である牛に対してだとどうだろうか。いやそもそも、ここまで大きく取り上げるべき衝撃なのだろうか…などなど。やはり混乱気味。

そして二つ目。製作者側がどのような目線で当該地域の人々を、もしくは日本人を見ているか、その姿勢や態度の一端を見ることができる。
映像から察するに、きっと地元の漁業組合や警察とはこれまで何度もトラブルになっているのだろう。まぁなんというか、製作者側の人々は完全に地元の人々を馬鹿にしている。イルカと日本人とでは、きっとイルカの方が賢いと思っているんだろうなぁ。


今回は前情報を入れすぎだ。情報が多すぎで一体どういう態度で作品に臨むべきか…正直、混乱してしまった。

一つ注文。日本での公開にあわせて、人物へのモザイクや多くの但し書きが加えられているが、どれがオリジナルでどれが日本版なのかが分かりにくい。この点に関心を持っている観客は多いと思うので、もう少し丁寧に作ってほしかった。