ザ・タウン(2010,米)

ザ・タウン  〜アラフォーおっさんの自分探し〜


残念ながら作品賞のノミネートはありませんでしたが,ベン・アフレックの監督兼主演作。ベン扮するダグの相棒役には「ハート・ロッカー」で爆弾処理が得意なサビシイ兵士を演じたジェレミー・レナー。ヒロインには「それでも恋するバルセロナ」で登場人物中唯一のまともな人物を演じたレベッカ・ホール

期待が大きすぎたのか何なのか,正直に言ってあまり面白くなかった。何でこんなに評価が高いんだろう。私がアメリカのことをよく知らないからかな。うーーん,ちょっと不安になってしまう。

役者たちの演技はさすが,すばらしいと思う。でもストーリーの説得力がイマイチ。例えばそうだな…。

アラフォーのおっさんたちがグレた高校生みたいにスケート場やパブにたまって酒や女の話,親世代の武勇伝なんかで盛り上がっている。…うーんイタイ。特にダグの相棒のジェムが変。あんなに気が早くて暴走するやつが常勝強盗団のサブリーダーとは思えない。
チームの団結力についても説得力がイマイチ。親世代から続く結束力の強いコミュニティーだから,というだけでは,ラストの彼らの捨て身の行動を説明できるのかな。もちろん,田舎や家族のローカルなルールやしがらみの存在についてはよく分かる。それに,それらに絡みとられて生き方が規定されてしまうことへの苦しみや戦いを描いた作品だって他にもある。でも本作は,それを第三者にも理解できるように描いているとは思えない。舞台となったタウンでは当然なのかも知れないが,こちらにも分かるようにしてもらいたいな。

そのあたりの説得力がイマイチに感じたので,結果的に私は,ダグの自分探し物語としか受け取ることができなかった。
「グッド・ウィル・ハンティング」では送り出す役だったので,今度は自分が旅立ちたかったのかな。