ミッション:8ミニッツ(Source Code, 2011,米)

ミッション:8ミニッツ ―全てを満たす傑作!―


あらすじ: シカゴで乗客が全員死亡する列車爆破事故が起こり、事件を解明すべく政府の極秘ミッションが始動。爆破犠牲者が死亡する8分前の意識に入り込み、犯人を見つけ出すという任務遂行のため、軍のエリート、スティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)が選ばれる。事件の真相に迫るため何度も8分間の任務を繰り返すたび、彼の中である疑惑が膨らんでいく。(シネマトゥデイ


ユナイテッドシネマ・キャナルシティで鑑賞。本当は『フェア・ゲーム』を観ようと思っていたけど時間が合うのでこちらに変更。結果,大正解。
物語のほとんどは主人公スティーヴンス大尉の視点で進行。ろくに説明もないまま何度も爆発までの8分間が繰り返される。なぜこんなことが可能なのか,何の目的でやっているのか,一応少しずつ明らかになっていくが,主人公がパニくってることもあり,そのへん結構適当。
まあSF映画なんてこんなもんだ。『猿の惑星』だって適当だった。そういえば『猿の惑星』で一番適当だと思ったのは,遺跡で見つけた人形がしゃべったこと。どんだけスタミナある造りなんだ!

しょせん狭い列車の中の8分を繰り返すので何度もやると飽きてきそうなもんだけど,テンポがいいからか飽きることはない。結局4・5回だったかな。途中2回ほど列車から降りて別の死に方をするバージョンなんてのもあり,ホント,よく考えられている。

たとえ8分間の付き合いだとしても,何度も何度も一緒に死んだ仲だ。だんだん情が沸いてくる。確かに世界は救えたが,<私の世界>はまだ救えていない。圧巻はもちろん,非常に哲学的なラストミッション。
<私の世界>が救えた瞬間。この描写がすばらしい。さらに,この映画では,<私の世界>が救えた瞬間に<私の世界>が世界そのものとなったことまで描いている。

何という奇跡!もう涙が止まりません!!
でも実は,主人公がグッドウィン大尉に対し,ラストミッションに行かせてくれと懇願するシーンから,すでに涙がだだ漏れていました…。

SF,アクション,サスペンス,ヒューマンドラマ…あらゆる要素が詰まっていて,久しぶりにガツンとくる良作に出会えました。90分ほどの短い作品だけど,それもまたちょうどいい。

ツリー・オブ・ライフ(2011,米)

ツリー・オブ・ライフ  〜タイトルそのまんま〜


何かの比喩かと思っていいたが,比喩でもなんでもなく,そのまんま「ツリー・オブ・ライフ」についての映画だった。

ブラピとショーン・ペンの共演を期待していた(おそらく日本の大半の)観客にとっては期待はずれだったことだろう。
でもこれって…配給会社のプロモーションが悪い。きっぱり。本家ではどんなプロモーションしていたのか知らないが,日本版トレーラー見る限りどうしたって2大俳優の感動作に見える。半ば確信犯的な配給会社の手法に,ちょっとむかつく。

ストーリーはほとんどあってないようなもの。宇宙の誕生から現在までを美しい映像で見せてくれる。宗教的な説教くささがほとんど感じられないので,心地よく見ることができた。時代の雰囲気作るのもうまいし,意外とアリです。

塔の上のラプンツェル(Tangled, 2010, 米)

塔の上のラプンツェル 〜意外とオトナな結末〜


ユナイテッドシネマ・キャナルシティで鑑賞。吹替え版しかないことが猛烈に不満!ちなみにエンジェル・ウォーズは”IMAX版のみ字幕”という望みが残されているが,こちらは完全に字幕なしだからひどい。

で,どうせ吹替え版しかない(字幕を追う必要がない)ので,大きなスクリーンで観るときには決して座らない前2列目のど真ん中で鑑賞。これが結果的に大正解。最新アニメーションの技術を堪能することができた。今回は字幕版がないことが幸いしたかも。

内容の印象としては「魔法にかけられて」に近い。姫が単なるお飾りではなく,悩み戦う人間として描かれているという点については,最近ではデフォルトなのかもしれない。が,少しヒネリを効かせたストーリーが単なる子ども向けというよりも,大人をかなり意識したアニメという印象。

特に印象に残ったのは,ある程度の人間性を持った悪役でも最後には簡単に殺されちゃうんだなあということ。同じことは「カールじいさんと空飛ぶ家」でも思った。結構残酷で,ぎょっとする。まぁ現実の悪人だって人間性を持っているのだから,ある意味リアリティあるオトナの結末。
たぶん日本のアニメだったら違う結末にするだろうな。あるいは,あのような結末にするのであれば,はじめからもっと人間味のない悪人という設定にするはずだ。勧善懲悪。

それからラストへの展開が速い。特にフリン・ライダーがマキシマスに乗って塔にやって来てからジ・エンドまで。髪を切るエピソードとか,何が起こっているのか子どもに分かるのかな??個人的にはあの描写はすごくよいと思うけど。

ヒア・アフター(2011,米)

ヒア・アフター  〜冒頭がピーク〜


ここ1,2ヶ月は忙しくてほとんど映画館に行くことができなかった。それでもいくつかは鑑賞したの忘れないうちに記録記録っと……。

偶然にも数日前に「グラン・トリノ」をBDで鑑賞。余韻をたっぷり引きずったまま観てしまったので正直微妙。冒頭のTUNAMIの映像がピークで,それ以降は……。まじめにスーパーナチュラルを語られてもねぇ,どーしろってんだよ。と,期待していた分の不満が大きかった。

なお鑑賞したのは3.11の数日前。上映中止になったことで微妙なプレミア観は出た感じ。

英国王のスピーチ(the King's speech, 2010,英豪)

英国王のスピーチ 〜オスカーはぜひチャーチルへ!!〜


何とかアカデミー賞の発表前に観ることができました。真面目で誠実で,でも硬すぎずお茶目なギャグもところどころにちりばめられていて,そして最後はしっかり盛り上がってジ・エンド。とても完成されたストーリーに役者の演技。若者からお年寄りまで誰が見ても面白い。万人受けする映画でしょう。
いい人キャラ代表のコリン・ファースは相変わらずお硬く真面目でステキ。今回の敵はヒュー・グランドではなくガイ・ピアーズ。でも色男に人生を引っ掻き回される点では同じ。それから王妃役のヘレナ・ボナム=カーターはハリポタシリーズの性悪魔女から一転,茶目っ気のあるこちらもステキな奥様でした。
しかししかし,何といっても注目すべきはチャーチル元首相(作中ではまだ首相ではない)を演じたティモシー・スポール!これがまー激似!!ハリポタではにくったらしい裏切り者,そして「魔法にかけられて」では悪い王妃様の小間使いだった彼が,なんと今作では「チャーチル」と呼ばれている!!あの対戦真っ只中の英国の舵きりをした伝説の首相!!!もーー思わず吹いちゃったよー。

物語があまりにもきれいにまとめられているので,ちょっと面白みにかける気がしなくもないですが,その分,役者さんのすばらしい演技に注目です。映画を観たあとウィキペディアの「チャーチル」の項目に挙げられていた画像を見て,なお納得。彼にはアカデミーそっくりで賞を差し上げます。

レッド(2011,米)

レッド  〜那智さんの吹替えでもう一度〜


大好きです。何がって,ブルース・ウィルスが理不尽に痛めつけられても頑張る姿が♪「ダイハード」シリーズ(特に1と2)やら「隣のヒットマン」やらとにもかくにもブルース・ウィルスといえばこれでしょ!という期待を裏切らないキャラクターがサイコー。
元CIAの工作員が穏やかな隠居生活を送っているところへ突然攻撃が。そして逃げても逃げても全力で追いかけられるという,はじめっから理不尽アクションで物語はスタート。ブルース・ウィルス以外にも元同僚役としてベテラン俳優が次々に登場するし,アクションの残虐性を中和するコメディ要素も絶妙で,クライマックスまであっという間。しかも最後にちょっとシリアスなオチまで作ってあって,これでもかというぐらいに完璧なつくり。

日曜洋画劇場に向いていると思うので,ぜひ2,3年後に地デジ画質でもう一度みたい。那智さんの吹替えで見れたら最高なのになぁ…なんて思い,脳内吹替えを試みながら映画館を後にしたのでした。